アンティークコインのオークションやお店でよく見かける、硬いプラスチックケースに入ったコイン。ケースのラベルに「NGC」や「PCGS」と書かれているのを見たことがある方も多いと思います。

NGCとPCGSは、コインが本物かどうかと状態(グレード)を判定する、世界の二大鑑定会社です。この記事では、2社の違いと、鑑定済みコイン(スラブ)を買うときに知っておきたい基本をまとめます。

結論:どちらも信頼される大手。違いは「表記」と「得意分野」

  • NGCもPCGSも、世界中のオークションやお店で広く受け入れられている鑑定会社です。
  • グレードの基準はどちらも1〜70の数字(シェルドン・スケール)がもとになっていて、大きな違いはありません。
  • 違いは、ラベルの表記のしかた、扱うコインの範囲、日本からの依頼窓口などです。「どちらが上」というより、コインの種類や売り買いする市場に合わせて選ばれています。

そもそも「第三者鑑定」とは

売り手でも買い手でもない専門の会社が、コインを鑑定することを「第三者鑑定」といいます。鑑定会社は、主に次の3つをおこないます。

  1. 真贋の判定:本物かどうかを調べます。
  2. グレーディング:状態を1〜70などで評価します。
  3. 封入:コインを、ラベルと一緒に密閉されたプラスチックケースに入れます。このケースを「スラブ」と呼びます。

鑑定済みのコインは、遠くの国の買い手でも状態をある程度信頼して取引できるため、海外オークションでも広く流通しています。

NGCとPCGSの基本情報

項目PCGSNGC
正式名称Professional Coin Grading ServiceNumismatic Guaranty Company
設立1986年(アメリカ・カリフォルニア州)1987年(アメリカ・ニュージャージー州で創業。現在の本社はフロリダ州)
グループCollectors(旧Collectors Universe)グループCCG(Certified Collectibles Group)。紙幣鑑定のPMGも同じグループ
プルーフの表記PR(例:PR69)PF(例:PF69)
上位評価の印+(同じ数字の中で上位の状態)★(とくに見た目が美しいもの)など
古代コイン対応範囲は時期によって変わるため要確認専門部門「NGC Ancients」で長く鑑定している

PCGSは、スラブに入れて鑑定する方式を1986年に始めた会社で、NGCはその翌年に設立されました。どちらも数千万枚規模のコインを鑑定してきた実績があります。

2社の主な違い

1. ラベルの表記

上の表のとおり、プルーフの表記や上位評価の印が違います。また、洗浄跡などの問題があるコインの書き方も異なります。NGCは「AU Details」のように段階と問題の内容を書き、PCGSは「Genuine(本物)」として問題の内容を書く方式です。どちらも、数字のグレードがついていない点は同じです。

2. 得意分野

古代ギリシャ・ローマのコインは、NGCが専門部門で長く鑑定してきたため、NGCのスラブに入ったものを多く見かけます。アメリカのコインや近代の世界のコインは、どちらの会社のスラブも多く流通しています。

3. 市場での人気

コインのシリーズによっては、同じグレードでもどちらの会社のスラブかで落札価格に差が出ることがあります。気になるコインがある場合は、過去の落札結果を2社で比べてみると傾向がつかめます。

日本から鑑定を依頼するには

どちらの会社も、日本の個人が直接アメリカへコインを送るのではなく、日本国内の窓口(公認の提出センターや提携ディーラー)を通して依頼するのが一般的です。

  • NGC:ワールドコインズジャパン、ダルマ、泰星コインが公式の提出センターに指定されたと発表されています。また、NGCの属するCCGは2024年に東京オフィスの開設を発表しています。
  • PCGS:アジア向けサイト(PCGS Asia)で、日本の提出センターとしてワールドコインズジャパンが案内されています。

料金や返却までの期間は、コインの種類・申告する価値・サービスの種類によって大きく変わります。数か月かかることもあるので、依頼する前に窓口で最新の条件を確認しましょう。

スラブ入りのコインを買うときの確認ポイント

  1. 認証番号を公式サイトで調べる:ラベルには認証番号(Cert番号)が書かれています。NGC・PCGSとも公式サイトで番号を入力すると、コインの種類やグレード、登録されている写真を確認できます。
  2. 写真と実物を見比べる:番号が実在しても、偽物のスラブが本物の番号を使っていることがあります。登録写真がある場合は、色や傷の位置まで見比べましょう。
  3. ケースの状態を見る:割れ、すき間、ラベルの印刷のにじみや、ホログラムの不自然さがないか確認します。
  4. 買う場所を選ぶ:偽物のスラブは2008年ごろから出回っており、安すぎる出品や評価の少ない海外の出品者には注意が必要です。

なお、スラブは開けると鑑定の保証がなくなります。保管のときも、ケースは開けずにそのまま保管しましょう。

どちらを選べばいい?

  • 売る予定の市場に合わせる:そのシリーズでよく流通している会社のスラブのほうが、売りやすいことがあります。
  • コレクションをそろえる:同じ会社のスラブでそろえると、見た目や管理がしやすくなります。
  • コインの種類で選ぶ:古代コインはNGCが選択肢になりやすい、など扱う範囲も確認しましょう。

はじめのうちは、どちらの会社かよりも、グレードと実物の見た目、そして信頼できるお店から買うことを重視するのがおすすめです。

まとめ

  • NGCとPCGSは世界の二大鑑定会社で、どちらも広く信頼されている。
  • グレードの基準は同じ1〜70。違いはラベルの表記や得意分野。
  • 日本からは、国内の提出センターや提携ディーラーを通して依頼するのが一般的。
  • スラブ入りでも、認証番号と写真を公式サイトで確認する。
  • スラブは開けずに保管する。

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※本記事はコイン収集の情報提供を目的としたもので、投資や売買を勧めるものではありません。鑑定の料金・受付窓口・サービス内容は変わることがあるため、最新の情報は各社の公式サイトや提出窓口でご確認ください。