「アンティークコイン」「古銭」「記念硬貨」。どれも古そう、珍しそうという点では似ていますが、指しているものは少しずつ違います。

この違いがあいまいなまま情報を集めると、お店やオークションの説明を読み違えたり、家にあるコインの扱いに迷ったりしがちです。

この記事では、コイン収集を始めたばかりの方に向けて、3つの言葉の意味と違いを整理します。

結論:3つの言葉は「切り口」が違う

先に結論をまとめると、3つの言葉は分類の軸がそもそも違います。

  • アンティークコイン:主に海外の、古い時代に作られたコインを収集品として呼ぶときの言葉。法律上の決まった定義はありません。
  • 古銭(こせん):主に日本や中国など東アジアの、昔に使われていたお金を指す言葉。こちらも法律上の用語ではなく、収集の世界での呼び方です。
  • 記念硬貨(記念貨幣):国が記念行事などに合わせて発行するコイン。日本の記念貨幣は法律にもとづく「貨幣」で、額面の金額で使えます。

つまり「アンティークコイン」と「古銭」は時代や地域による呼び名、「記念硬貨」は発行の目的による呼び名です。そのため、たとえば「海外の古い記念コイン」のように、両方に当てはまるコインもあります。

アンティークコインとは

アンティークコインは、英語の antique(アンティーク=骨董品、古美術品)と coin(コイン=硬貨)を組み合わせた言葉です。日本では、古代ギリシャ・ローマのコインや、イギリスなどヨーロッパの王様の肖像が入った金貨・銀貨を指して使われることが多い言葉です。

注意したいのは、「何年以上前のものをアンティークコインと呼ぶ」という統一ルールがない点です。販売店やオークションハウス(競売会社)によって使い方に幅があり、比較的新しい時代のコインまで含めて「アンティークコイン」と呼んでいる場合もあります。

反対に、近年に作られたコインは「モダンコイン(modern coin=現代のコイン)」と呼んで区別されることがあります。こちらも境目の年代ははっきり決まっていないため、商品説明では「いつ・どこで発行されたコインか」を自分で確かめるのが確実です。

古銭とは

古銭は文字どおり「古い銭(ぜに)」のことで、日本では江戸時代の寛永通宝(かんえいつうほう)のような穴の開いた銭や、小判などの昔のお金、明治以降の古い硬貨を含めて呼ばれることが多い言葉です。紙幣を含めて「古銭・古紙幣」とまとめて扱うお店もあります。

アンティークコインと古銭は、どちらも「昔のお金」という点で重なっています。大まかには、海外の古いコインを「アンティークコイン」、日本や東アジアの古いお金を「古銭」と呼び分ける傾向がある、と考えておくと分かりやすいでしょう。ただし、これもはっきりした決まりではなく、お店によっては海外コインを「外国古銭」と呼ぶこともあります。

記念硬貨(記念貨幣)とは

記念硬貨は、オリンピックや国の記念行事などに合わせて発行されるコインです。日本では正式には「記念貨幣」といい、造幣局(ぞうへいきょく=日本の硬貨を製造する独立行政法人)のサイトでは、行事ごとに発行がふさわしいかを考え、その都度、閣議で決定されると説明されています。

日本の記念貨幣は、ふだん使っている100円玉や500円玉と同じく法律上の「貨幣」です。造幣局の説明によると、記念貨幣を含めて額面の金額で使うことができ、1種類につき20枚までは受け取りを拒否できない、とされています。

一方で、金や銀を使った記念貨幣の中には、製造費が額面を上回り、額面より高い価格で販売されるもの(造幣局はこれを「プレミアム貨幣」と呼んでいます)があります。こうした貨幣も、使うときは購入価格ではなく額面の金額として扱われる点に注意が必要です。

また、記念貨幣とよく一緒に目にする言葉に「プルーフ貨幣」があります。造幣局によれば、プルーフ貨幣とは収集用として特殊な技術で作られ、表面に光沢を持たせて模様を鮮明に浮き出させた貨幣のことです。

つまずきやすい点

  • 「アンティーク」と書いてあっても古いとは限らない:言葉の定義が決まっていないため、発行年と発行国を必ず確認しましょう。
  • 「古い=価値が高い」ではない:コインの評価は、残っている数(希少性)や状態、需要などで大きく変わります。古くても多く残っているものは、評価が高くならないことがあります。
  • 記念硬貨の「額面」と「売られている値段」は別物:お店では額面より高く、または額面に近い値段で扱われることがあります。使える金額はあくまで額面です。
  • 海外の記念コインは日本の記念貨幣とは扱いが違う:外国で発行されたコインは、その国の制度にもとづくものです。日本のお店で額面どおりに使えるわけではありません。

まとめ

アンティークコインと古銭は「いつ・どこのお金か」による呼び名で、どちらも法律上の決まった定義はありません。記念硬貨は「何のために発行されたか」による呼び名で、日本の記念貨幣は額面で使える正式な貨幣です。言葉にとらわれず、発行国・発行年・素材を確かめる習慣をつけることが、コイン収集の第一歩になります。

※本記事はコイン収集の情報提供を目的としたもので、投資や売買を勧めるものではありません。手数料や税金の条件は、各オークションハウスや公的機関の最新情報をご確認ください。