せっかく手に入れたコインも、保管のしかたを間違えると、変色したり細かい傷がついたりして、見た目も価値も下がってしまいます。アンティークコインの価格は「状態(グレード)」で大きく変わるため、保管は集めることと同じくらい大切です。
この記事では、コイン収集を始めたばかりの方に向けて、コインを傷めないための基本的な保管方法をまとめます。
結論:保管の基本は「触らない・湿気を避ける・素材を選ぶ」
先にポイントをまとめると、次の3つです。
- 触らない:素手でコインの面に触れない。持つときは縁を持つ。
- 湿気を避ける:湿気と急な温度変化は変色やサビの大きな原因。
- 素材を選ぶ:コインに直接ふれるケースや袋は、コインを傷めない素材のものを選ぶ。
コインを傷める主な原因
1. 手の脂や汗
素手でコインの表面に触れると、指紋の形に脂や汗が残ります。これが時間とともに変色し、取れないシミになることがあります。特に、未使用の状態のコインやプルーフ(鏡面仕上げ)のコインは、指紋がひとつ付くだけで評価が下がることもあります。
2. 湿気と温度変化
湿気はサビや変色の原因になります。銅貨は湿気で緑青(ろくしょう)が出やすく、銀貨は空気中の硫黄分などと反応して黒っぽく変色していきます。また、温度が急に変わる場所では結露が起きやすく、ケースの中に水分がたまることがあります。
3. 合わない保管素材
古いタイプのビニール製(PVC=塩化ビニール)のホルダーや袋は、長く入れておくとコインの表面に緑色のべたついた汚れを残すことがあります。また、硫黄分を含む紙や輪ゴムも銀貨を変色させる原因になります。
4. コイン同士・ケース同士のこすれ
何枚ものコインを袋や缶にまとめて入れておくと、動かすたびにコイン同士がこすれて細かい傷がつきます。
保管用品の種類と選び方
コインホルダー(紙製・フィルム窓付き)
厚紙にフィルムの窓がついた、2インチ角ほどのホルダーです。安くて扱いやすく、コインショップでもよく使われています。ホッチキスで留めるタイプは、針の先でほかのコインを傷つけないよう、針をしっかり押しつぶしておきましょう。
コインカプセル
コインの直径に合わせたプラスチック製の丸いケースです。コインが動かず、密閉性も高いので、大切なコインを1枚ずつ保管するのに向いています。サイズが合わないとコインが中で動いたり、無理に押し込んで傷がついたりするので、直径を測ってから選びましょう。
フリップ(ソフトタイプの袋)
2つのポケットがついた柔らかい袋で、コインと説明メモを一緒に入れられます。選ぶときは「PVCフリー(塩化ビニール不使用)」と書かれたものを選んでください。
コインアルバム・保管ボックス
ホルダーやカプセルに入れたコインをまとめて整理するためのものです。たくさんのコインを一覧できて、管理がしやすくなります。アルバムも、ページの素材がPVCフリーのものを選びましょう。
スラブケース(鑑定済みコイン)
NGCやPCGSなどの鑑定会社で鑑定されたコインは、「スラブ」と呼ばれる硬いプラスチックケースに封入されて返ってきます。スラブは長期保管を前提に作られているので、基本的にはそのまま保管すればOKです。ケースを開けると鑑定の保証がなくなるので、絶対に開けないようにしましょう。スラブの収納ボックスについてはAmazonで探したスラブケース収納の記事でも紹介しています。
保管する場所のポイント
- 湿度の低い場所:押し入れや床下など湿気のこもる場所は避け、乾燥剤(シリカゲル)を一緒に入れておきましょう。コレクションが増えてきたら、カメラ用の防湿庫も選択肢になります。
- 温度変化の少ない場所:窓際、暖房器具の近く、直射日光の当たる場所は避けます。
- コインを重ねない:1枚ずつホルダーやカプセルに入れ、仕切りのある箱に立てて保管します。
- 貴重なコインは防犯も考える:高価なコインは、自宅の金庫や銀行の貸金庫の利用も検討しましょう。
やってはいけないこと
- コインを磨く・洗う:汚れが気になっても、研磨剤や薬品で磨くのは厳禁です。表面の細かい傷や不自然な光沢が残り、鑑定会社では「クリーニング(洗浄)」と判定されて価値が大きく下がることがあります。
- コインの上で話す:小さなつばの飛沫がコインに付くと、あとで点状のシミになることがあります。じっくり観察するときは、少し顔を離しましょう。
- 硬い机の上で直接扱う:落としたときに傷がつかないよう、柔らかい布やトレーの上で扱いましょう。
- スラブケースを開ける:鑑定の保証がなくなり、再鑑定にも費用がかかります。
コインを観察するときの道具
- 手袋:綿の手袋や、ニトリル(合成ゴム)の手袋を使うと、指紋や脂がつくのを防げます。
- ルーペ:5倍〜10倍程度のルーペがあると、細かな傷や摩耗、刻印の違いを確認できます。
- 柔らかいトレー・布:コインを置いたり、うっかり落としたりしたときの傷を防ぎます。
記録をつけておくと安心
コインが増えてきたら、1枚ごとに「種類・年号・状態(グレード)・鑑定番号・購入日・購入先・購入価格・保管場所」を記録しておきましょう。写真もあわせて残しておくと、管理や売却、万が一の盗難・災害、相続のときにとても役立ちます。
また、火災保険などで家財として補償を受けたい場合、高価な貴金属や美術品は、申告しておかないと補償の対象外になる契約もあります。高価なコインをお持ちの場合は、加入している保険の条件を確認しておきましょう。
まとめ
- コインは縁を持ち、素手で面に触れない。
- 湿気と温度変化を避け、乾燥剤を活用する。
- 保管用品は「PVCフリー」など、コインを傷めない素材を選ぶ。
- 汚れていても磨かない・洗わない。
- 鑑定済みのスラブは開けずにそのまま保管する。
- 記録と写真を残しておく。
正しく保管すれば、コインは何十年、何百年先まで美しい状態を保つことができます。大切なコレクションを、次の世代まで残していきましょう。